これもすべて同じ一日

いつの日も、歩きつづける道の途中で、
時々こうしてこのような形で出会えることを幸福だと思います。
私が私の願いをみつめるように
あなたがあなたの願いをみつめてると、(たとえそれが無意識でも)
遠くから信じることが出来れば、
それこそがたったひとつの私の愛の形なのです。
結局は、上も下も右も左も空も海も恋も涙も、
ありそうでないのだから、
小さな言葉が胸の痛みで同時にそれを越えた何かであると、
いちいち気づいていたい。
運命なのか偶然なのかわからないけど、
みつめあう瞳に感謝します。
―著者―
「雨は花束 気まぐれは あなたも同じ」

  僕たちは
  歩いて 迷って たどりつく

  そこは
  白いものが点在する所
  雨が霧になる所

  こんなところへ来てしまうと
  もう何もかも
  どうでもとくなるよね

  しゃがみこんで足もとをみつめる
  草の葉に水滴がくっついている
  立ち上がって遠くをみつめる
  ここからみえるいちばん遠く
  霧よりも空よりも できるだけ遠く

  その二つの動作の間で僕が
  よろけたりする

  あなたを愛するということは

  つまりそんなことだろう

嫌いになってしまったあの子と
一緒にいるには
どうしたらいいのだろう?

あの子が
台所でホットケーキの粉をといている間
僕の胸の中で
石がぴょんぴょんはねまわる

降ってくるものは つめたい
降ってくるものは おかしい
降ってくるものは かなしい
降ってくるものは やさしい

降ってくるものは あなた

手のひら 広げるのは わたし

ただみつめあうことの奇跡
それから という嘘
もう二度と迷わないという約束
それなら という嘘
けしてあなたを忘れないという確信
さよなら という嘘

先に素直になられちゃうと
負けです

「砂漠の音色」

僕たちはいつも
ふたつのものにへだてられている

ひとつは君のかなしみ
ひとつは僕の無関心

それが あなたでした

私の声を聞きのがして

ほほえんだ人

あなたのためになら
私にウソをついてもいいよ
私はいつだって こうやって
きたんだから
何かのためにかなしむのなら
誰かのためにかなしむのなら

もう何もかも まぶしくなっても
かまわないと思ってる

見上げると枝の向こうに
青空がみえた
空は無数に千切れてる
光のしずくはドロップのようね
心の壁は自由ね
あなたの恋も
つないでおけない

「月夜のうつむき」

言葉はたちまち凍るので
ああ いままさに という時だけ 用意します
だれかをお茶に誘ったら
あれこれ角度を与えます
それよりも急な月の宵
菜の花ばたけでころんだり
いじめられたくて だだまでこねて
困らせた

それは 愛と いうものですか



……………………………………………………………………
こちらのページはのれん本人が紹介しているものです。
銀色夏生さん、他各出版社様、ページの写真画像等とは
一切関係ありません。

これもすべて同じ一日
銀色夏生

初版発行 昭和61年12月18日
発行所   株式会社角川書店
……………………………………………………………………



■銀色夏生TOP ■MENU






SEO [PR] 爆速!無料ブログ 無料ホームページ開設 無料ライブ放送