こんなに長い幸福の不在
ゆううつで暗い気分の時をえらんで書いていたら、
こんな本になりました。
悲観的で望みをなくしたような、
この本を手にとるとその本みずからがぶるぶるとふるえ、
イヤがりながらぱっと遠くへ飛んでいってしまうような、
そんなスネた本を作りたかったのですが、
できてみるといがいと人見知りながらもかわいげのある物になってしまった。
このはかなくてもどかしい気分たちをよろしく。
―著者―
何が、いいことなのか
世界中から ゆううつが
僕をめざしてやってくる
みんながだれかをすきでも
僕は、流されない。
うわべだけの気分で、
おかしくないもないのに笑わないよ。
僕は、みてたよ。
だった、つまんないんだもん
すきでもないひとなんて、
恋じゃないのに、すきなさっかく。
ボク、全然ちがうのが
わかった サアーッと
さめてしまうんだ。
アイツラ、とっても、
なんていうか…うっかりしてるよ。
みんなと同じこと言わなくても、不安なこのなんかないのに。
無イシキにキョーハクされてるんだなあ、
集団心理ってものに。
さっきまではよかったんだ
本当に。
それは急におそってきた。
…孤独感…
重く、くるしい孤独感。
部屋にいるのに
電話にでない
あの頃の自分が不思議なほど、
今は、だれかに
必要とされたい。
かなしい恋をさがして、
かなしい恋をえらんで、
かなしい恋に安心して、
まだ何にも
ぶつかってない僕たち
やさしくなろう、
僕から一度。
よそうね、と言って、
やさしい目をした。
僕は、うん、とうなずいて、
心はとてもやりきれなかった。
そして、がまんしたのだ。
あまり何も考えずに
楽しそうに
やってても
本当は楽しくないことがあって、
そのことを
夜中とか
スルドイ友だちの前とか
好きな人の前で
急に発見する。
あなたのそういうところ
わかってくれる人ならいいね
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こちらのページはのれん本人が紹介しているものです。
銀色夏生さん、他各出版社様、ページの写真画像等とは 一切関係ありません。
こんなに長い幸福の不在
銀色夏生
初版発行 平成2年7月25日
発行所 株式会社角川書店
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