黄昏国 

よほどの細い道でもなければ
手を とりあえないふたり
ネムの木かげに涼をとる

鳥の声 聞けば 驚いたようにさがしあい
花の色 みれば ああそれとばかり教へあう

うなづく人あり
微笑む人あり

戯れの涙に 落ちてゆく恋

あの時 君がボクに与えたと思っているものを
あの時 実はボクは 受けとれなかったんだ

つなぎとめられないのは
こんなに愛しているから

天のおつかいが
ふさけて
ぼくのねむりをさます

妙なことばかりが
うかんできて
眠っても 眠っても
夢は うつつに 身をゆずる

「空間ベンチ」

このままの気持ちで いつまでもいよう
夢を 僕は みた
雪の降る朝
ラップランドで

片手なべを持ち
立ちすくんだ

いくつもの 白い未来が 落ちてきた

僕は みちみち考えた
雨にうたれて 道ばたで
泣くふす夜も
くるかしら



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こちらのページはのれん本人が紹介しているものです。
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一切関係ありません。

黄昏国
銀色夏生

1985年8月25日 初版発行
株式会社河出書房新社  発行所
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