月夜にひろった氷
ポケットの中で 星が騒ぐので
どうしても それが騒ぐので
この恋は
あきらめようと 思った
「ガラスのため息」
折りたたんでビンにつめた
願いのつまったガラス
恋人は遠い空の下
夕暮れを気にしてる
ライトがついて
青くなって
うすぐらくなって
すずしくなれば
私だっていつも
ガラスのため息
さよならなんて
いつでも言えた
「それが涙だと言うのなら」
それが涙だと言うのなら
なぜ君はそれを大事にする
それが悲しみだと言うのなら
なぜ両手を離してしまわないんだ
かたくかたくにぎりしめて
ずっとずっと守っているのは
それが必要だからだろう
君は後ろをふり返り
君はまわりをみわたして
ある考えにぴったりくると
知っていたものと油断する
油断してまた歩き始める
君は涙をおまじないのように持っていて
幸福のゆくえを
決めさせる
それが涙だというのなら
「二人の今」
二人の過去に甘えているあなたは
今の瞬間は
何にもささえられていない
ということがわからない
過去も未来も
それぞれの今なんだ
今日のやさしさは真実だけど
昨日のやさしさとは別のものだ
思い出に甘えてはいけない
あなたを嫌うこともできるんだ
「九月のドライブ」
あなたのような人になりたいと思っていた
あなたのような人に泣かされると思っていた
∞あとがき∞
確かに彼等は素敵だけど
それは追いかけるべきものではない
想う人への想いが消えて
君と僕へ 帰ってゆく時が
その時の気分が
僕に自分をたしかめさせるんだ
君の花の中で
小さな現実をつっついて遊んでいれば
時にはその穴からハトがとびだしてくるよ
驚いた君の顔ったら ないね
僕は 生きて ゆけるね
―銀色夏生―
………………………………………………………………
こちらのページはのれん本人が紹介しているものです。
銀色夏生さん、他各出版社様、ページの写真画像等とは 一切関係ありません。
月夜にひろった氷
銀色夏生
1987年12月10日 初版発行
株式会社河出書房新社
………………………………………………………………
|
SEO | [PR] 爆速!無料ブログ 無料ホームページ開設 無料ライブ放送 | ||