微笑みながら消えていく 

いつかあなたに出会ったとき
自慢に思ってくれる私でしょうか

遠くに小さな月もでて
消え入りそうな日暮れです

「あなたがほしくて私は恋をする」

生きていることを高らかに
うたいあげるように歩く
新しくてつめたい風を入れるために
窓をあける
潮風をもっともっと味わうために
深呼吸する
庭の木が枯れないように水をやる
光りを求めて葉をのばす
浮力を感じるために水へとびこむ
あなたがほしくて私は恋をする

「3ヶ月」

あなたに去られてもう3ヶ月。
まだ3ヶ月。ため息の日々。
季節が変わったように思うけど、
胸から出ているものは何も変わっていない。
部屋の明かりをつけたり消したり、
家中を行ったり来たり、
時をムダ使いしている。
どんなふうだった?
もう甘ったれないと決めてからの私は、いさぎよかった?
3ヶ月。
3ヶ月。
この3ヶ月に私がしたここといったら、
あなたを忘れないことだった。

ええ、私はずっとドアを押し続けたわ
努力と忍耐と誠意をこめて
でもダメだった
そして よく見たわ
私がドアだと思っていたものは
実は壁だったのよ

やはり今ならば僕はできるだけ自分の心に正直に
もし不幸が訪れたら観念して正面から受け止めようと思う

思いつめる形で恋が逃げていく
思いつめる形で恋を遠ざけていく

やさしくするなら最後まで
つめたくするなら最初から

話しを聞いてあげることが大事

「君は希望の香りがした」

君は希望の香りがした
そういう形のプレゼント

こんなに白くてきれいだから
まぶしくて
かなしくて
どうしても
あのことを
思い出す

「約束しなくても また明日 会える」

約束しなくてもまた明日会えることが
どんなにいいことか
約束しなければもう次に会えないという身の上になってみて
つくづくよくわかる


∞あとがき∞

私たちが力づけられているあれらのものというのは、
確かに力づけられるに価するものだと私は思っているので、
失望することなくこれからも、
この複雑で単純な世の中を冷静に泳いでいきましょう。
できれば、
やさしくて純粋なものを見落とさずに。
もちろん、悲しくて透明なものから目をそらさずに。
にっこりさせられるって、素敵なことです。

―銀色夏生―



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こちらのページはのれん本人が紹介しているものです。
銀色夏生さん、他各出版社様、ページの写真画像等とは
一切関係ありません。

微笑みながら消えていく
銀色夏生

平成元年11月25日 初版発行
株式会社角川書店   発行所
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