散リユク夕ベ

「今日も明日もあの木下で」

今日も明日も
あの木下で

君に会えなければ君を想おう

僕たちは弱いけど
今は力はないけど
いつかきっと
すごくしあわせになれるよ
いつかきっとね

だから
僕の手を強くにぎっていて

貝殻の足音
もれてくり光
いちかばちかのかけなんてよそうよ
僕が負けても
僕が勝っても
君が僕を離さない

心から好き
空からふる
ふるえる涙

これは私を救うかもしれない
その時そう思った

だんだん
思ってることを言いたくなってきた

その時僕が思ったことは
みんな
うたがいながら信じてるんだ
ということ

人の心は弱いのだ

信じながらもうたがい
うたがいつつも信じてる
この可逆さかげんはどうだろう

光りと闇を行ったり来たり

時々
まるで人は
うたがう競争をしているみたいだと
思うことがある

でも最終的に勝つのはいつも
信じた方だ
最後の最後のことだけど
勝つといっても心の中のことだけど

つなぎとめられたい
迷わないものに

わかりやすさが身上だった

あの人に対する僕の気持ちは
簡単に口にもできない
神聖なもの
とても大事なものだから
いちいち報告はしない

確かに彼は軽率だったが
それによってひきおこされる問題を
処理する能力にもたけていた

淡い思い出として
あの人の心に残ればいい

私はあの人を好きだけど
あの人が私を好きにならないとしたら
仕方ない
私はあの人に何を求めているのか
あの人のどこにひかれているのか
私にもはっきりとはわからない

私は
目に見えない確かにこれと説明できない
何か神秘的で真面目な力を信じているけど

その力が私たちを認めてくれないかぎり
あの人は私を好きにならないだろう

私があの人のためにできることは
特にない
ただ黙って
きれいな気持ちでそばにいるだけ

きれいな気持ちでそばにいるだけという作戦
素直という爆弾を投下

僕は君を守るつもりですが
いいですか

希望は時々おそろしい

私たちを道に迷わす力を持つ

この不幸を
ラッキーだと思おう

この不幸を
ラッキーだったと
思える見方に気づきさえすればいい
するとだんだん
本当にラッキーだったと
思えてくるから不思議

忙しい

私は言ってしまったが
本当にそうだろうか

忙しい

彼も
言ってたけど
本当にそうなのかな

忙しいという言葉で
離れていく関係なんて
淋しいものだ

そんな関係って
もともと素敵じゃなかったんだろう

「星がまたたく君の頬」

星がまたたく君の頬に
何度も触れそうになって僕は知る

強い心を持ち続けることは
自分の気持ちしだい
誰も邪魔できず
誰も手伝えない
ただ自分の意志ひとつ

またたく星の
星あかり
星がまたたく君の頬

君との恋を恋というなら
今までのどんな人とのつきあいも
恋とは呼べない

あんな程度じゃ
恋と呼べない

つめたかったのは
君じゃなかったからなんだ

人との出会いは
キリがないね

もしかすると恋も
キリがないね

でも僕は 決めたから

矢のようにすぎていく
油断するとあっという間

こんなに大切なことが
知らないうちにどんどん
流されていくとは知らなかった

気をひきしめなくては
油断したまま終わりがきそう

誰かを思い
せつなくなる時

その気持ちを大事にしよう

あなたにもしだまされているのなら
それがわかった時に そうと思おう
それならそれでいいから

私はただ信じている
信じるまでもなく

何もうたがわず
ただ無心に
あなたのそばにいる
この強さも

あなただからこそ

あなたとは
いつかここまで
と決めた地点があり

そこへ私はきてしまった

のぞむところまでこれたので
そのことはうれしい

でも
そこまできた私が思うだろうことを
想像するのをおこたっていた

今 ここまできた私には
また もうすこし先ののぞみができてしまっていて
ここであきらめる という決意は
私をひどくつらくさせる

僕たちは大人だから
どっちにころぶこともできる

感情はコントロールできなくても
行動はできる

我慢するのは意志の力だ
望みをかなえるのは行動力だ

僕たちは大人だから
僕たちで決めよう

もう僕は
愛について恋について
一般論は語らない

みんなと一緒にすごすとしても
すこしは
一人の時間がほしい

何の期待もしない
とは
なんてロマンチックだろう

私は苦しい恋をしています
まるで長い旅のような

旅の途中でおこしてください
さくらの花が散る前に

毎日のいろいろな出来事が
あなたのことで

ちょっと身にしみて
ちょっとつらい

傷つくのが同じなら
どうせなら素直でいたい

あなたの心の
動かしがたい諦念を
私はこの手で
こわしたい



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詩集 散リユク夕ベ
銀色夏生

平成10年 3月25日 初版発行
株式会社角川書店   発行所
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